【非営利型株式会社】Jリーグはなぜ「株式会社」という形態を取るがけ?

大島和人さんの発言について書いた記事の続きになるちゃ。

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非営利型株式会社はJリーグに共通する面が多いちゃ

営利企業の最大の特徴である「利益を出して配当を配る」というのが、Jクラブでは行われとらんがよ。

配当を出しとらんがやったら、それこそNPOやったり、一般社団法人とかにすりゃいいんやないけ…と思うところやけどよぉ、それでもなぜかJリーグの全60クラブは「株式会社」という形態で運営しとるがやね。それはどうしてやろうか?

そこでよぉ、Jリーグクラブと同様によぉ、配当による分配を行わなかったり、残余財産の分配を行っていない「非営利型株式会社」として活動している「非営利型株式会社Polaris」という会社のサイトに大きな理由が書いてあるがよ。このサイトには、Jクラブにも共通する理由が複数出ているがよ。

非営利型株式会社Polarisについて

非営利型株式会社Polaris(ポラリ...
非営利型株式会社とは? | 非営利型株式会社Polaris(ポラリス) ソーシャルビジネス用語集#1「非営利株式会社とは?」 最近耳にする機会が増えてきた「非営利型株式会社」ですが、

Polarisさんは、コワーキングスペース運営、事業伴走サービス、コミュニティ運営、創業支援、講演会・講師とかのサービスを行っているソーシャルビジネス企業で、2012年から東京都調布市を拠点で活動されとるちゃ。元々はNPO法人として活動しとったがやけど、2010年に内閣府地域社会雇用創造事業ビジネスプランコンペで支援案件として採択されてよぉ、そこから発展する形で「非営利型株式会社」として活動することになったがやね。

法人の目的として「公益」を掲げていてもよぉ、株式会社として運営している以上は、利益配当を行ってしまえば株主の「私益」に繋がって「営利」を目的となってしまうがで、この「非営利型株式会社」というのは、一見矛盾した言葉のように見えるのは確かやちゃ。そこでよぉ、非営利型株式会社Polarisさんではこのように定義されとんがやね。

非営利型株式会社とは
利益を配当により分配しないことや、残余財産の分配を行わない事を定款で定めた株式会社のこと。

https://note.com/polaris_npc0820/n/na6232dfd553e#aTUcR

こんな感じで定義されとるがやけど、登記上は「株式会社」として変わらんがやね。ただ、「非営利型株式会社」という言葉が生まれたのは、今から20年前以上に提唱されとって、提唱されとる理由がこれやちゃ。

“営利法人と非営利法人は、目的・事業・供給サービスにおいては違いが小さくなっており、唯一、大きな違いは、営利法人が利益を所有者(株式会社の場合は株主)への配当と役員への賞与金の形で分配すること“

内閣府資料「非営利型株式会社」を巡る論点

この辺りはこないだ大島和人さんが言っていてた営利企業の定義づけに近いところはあるかのう。この辺りは非営利型株式会社Polarisさんも、Jリーグの多くのクラブも似ていると言えるちゃ。

非営利ならNPOの方が良いと思えるちゃね

こういうのを見たらよぉ「だったらJリーグクラブはNPOで良いんやないけ?」と思う人はおるかもしれんちゃ。

確かにNPOやったら、株式会社と異なり、非営利活動での収益活動に対しては法人税が非課税やし、法人住民税に対しても減免措置を取られたり、あとは個人や法人がNPO法人に寄付した場合は、所得税や法人税の控除を受けることができるちゃ。

税制優遇の面を考慮したら、一見は「NPOの方が良いんやないけ?」と思うところはあるやろう。

なんでJクラブは株式会社で運営すらーか?

ただよぉ、そんでも「株式会社の方が有効」とする要素がいくつもあるちゃ。こちらも非営利型株式会社Polarisさんから引用しつつ説明していくちゃ。

ビジネスとして認知してもらう

第一に「ビジネスとして認知してもらう」というところがポイントやのう。

非営利団体であるNPOはよぉ、どうしても「非営利」という文字に引っ張られがちで、ビジネスとして見られないところはあるちゃ。NPO法人は「配当を出せない」とか規制はあるがやけど、実は利益を出してもいいし、収益分をしっかり納税していれば収益事業を行っても良いちゃ。

ほんじゃけどよぉ、世間的なイメージがどうしても「NPO?ボランティアけ?」みたいな感じで見られやすかったりするのう。どうしても法人格が非営利のNPOとか財団法人系になってくると、中にいる人が「ボランティア」と見られがちながよ。

まずは「ちゃんと職業としてやってる」とか「サッカークラブの事業でご飯を食べている」というのを認識してもらう必要はあるがで、それなら株式会社である方が有効やちゃね。

意思決定スピードが早い

株式会社にすることで大きなメリットは、やはり「意思決定スピードが早い」というところやろう。

Jクラブもサッカー事業のみならず、地域活動とか指定管理事業とか農業部とかやっているところはあるがやけど、そういう新規事業を行う際には、NPOやと理事会とか総会とかで決議を取ってから進めんなんがよ。意思決定に関しては、特定非営利活動促進法に基づき、NPO法人の会員が参加する社員総会が最高意思決定機関になって、理事会が業務執行になるがやけど、基本的に「社員(正会員)全員の意見を反映させる必要がある」がで、招集手続きとか合意形成とかで、これがまーた時間がかかってくるがいちゃ。

これが非営利型株式会社になると、会社法に基づいた意思決定になるがで、株主総会、取締役会が決められるがで、意思決定のスピードが迅速で、尚且つ柔軟に動きやすいところがあるちゃ。

サッカークラブに関しては、成績によって監督の交代とか選手の獲得などで、常に変化が激しいなかでチームを運営していかないといけんがやから、NPOみたいにいちいち会員と集めて、全員と合意形成をしてから決めているようでは、業務の決定スピードが遅くなってしまって、目まぐるしく変化するプロサッカー界に対応しにくくなってしまうがで、やはり株式会社が適切な形態になるちゃ。

資金集めがしやすいちゃ

そんで一番大きな理由は、やはり「資金集めがしやすい」というところやろう。

NPOの資金調達ちゃ、基本的に企業や個人からの「寄付金」とか、NPO法人の正会員とか賛助会員とかからの会費が中心ながで、どうしても資金調達が難しいところがあるのう。それに何よりも「金融機関からの借入が容易ではない」というところもあってよぉ、キャッシュフローがなかなか大変やったりするのう。

これが株式会社になると、出資や投資を受けやすくなってくるちゃ。新株発行して出資者を募ればいいしのう。実際にJリーグクラブも「第三者割当増資」はよこう実施されるがやけど、増資して財政基盤を強化することができるのが株式会社の強みやちゃね。

何よりも「金融機関から借入しやすい」というところは最も大きなところやろう。特に資本金が多いクラブになってくると、金融機関からの信用が得られやすいがで、シーズンオフとシーズン中では社内にあるキャッシュが大幅に違うJリーグのクラブにとっては、円滑なキャッシュフローを行うためには、やはり借入しやすい体制は整えておくべきながいちゃ。

収益事業を幅広くできる

あと、株式会社には「収益事業に制限がない」というところは大きいのう。

NPOやと特定非営利活動促進法に定められた20種類の分野に限られていて、それも「地域活動」とか「男女共同参画活動」とか「子供の健全育成を図る活動」とか、公益的な活動に限られてくるちゃ。

これが株式会社やと、もっと幅広くなるちゃ。

実際のところ、サッカークラブの関わることには「特定非営利活動促進法」の範疇に入っていることが多くて、スクール事業やったり、まちづくりの推進に関わる活動とか、農業部とかNPOのままでもできるところはあるがやけど、複数のJクラブが取り入れている暗号資産とか、ちょっとグレーなところはあるがで、こういうのは株式会社であるほうが活動はしやすいちゃ。

事業継承しやすい

そんで「事業継承が容易い」ところはあるやろう。

これは、上記にある「意思決定スピードが早い」というところに通じるがやけど、NPOやと正会員全員からの理解が必須になってくるしよぉ、スピード感を持ってできないところはあるやろう。

株式会社やったら、筆頭株主が売却とか譲渡とかすりゃ、すぐにオーナーチェンジするちゃ。Jリーグは地域名が義務付けられていて、企業名をつけるのが禁止になっとるがで、実際どれほどオーナーチェンジが行われているのかわかりにくいところはあるがやけど、実際かなりの数でオーナーチェンジが発生していたりするちゃ。

他のプロスポーツと比較したら、Jリーグは「株式会社かつ企業名が禁止」という体制だからこそ、オーナーチェンジが行われやすい体制になっとると言えるちゃ。Jリーグはこれまで消滅したクラブが1つしか無いというのも、株式会社という柔軟で対応できる形態でかつ、企業名が禁止されているから…と言えるやろう。

まとめ

いろいろ書いたがやけどよぉ、まずJクラブが「株式会社」で運営しとるのちゃ、営利目的で活動したいというよりも「株式会社という業態が円滑かつ柔軟性を持って運営できる」という株式会社特有の機能面が大きなポイントになっとるがやね。

収益源がスポンサーやサポーター、Jリーグからの分配金などが中心である以上、お金の出している方々の意向が「チームの補強や設備のインフラなどに投資しろ」という意味合いが強いだけあって、根本的にはプロスポーツビジネスというのは「利益(会社にお金を残す)よりは、売上伸ばして選手やインフラに費やそう」というのが基本ながいちゃ。

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株式会社とは一般的には「利益」こそ目的であるのは確かやけど、Jリーグ各チームのサッカークラブを見ていると、2010年代までモンテディオ山形のように公益財団法人で運営されていた組織もありゃ、奈良クラブやYSCCのようなNPOだった組織もあって、成り立ち自体は営利目的でないところは多々あるちゃ。

ただよぉ、業務自体はサッカークラブの運営であり、売上も選手やインフラに投資していくのは変わらんがよ。ただ、株式会社の機能面を考慮したら、やはりNPOよりも円滑に活動しやすいのが確かながよ。Jクラブは「株式会社で非営利的な活動をしていく」というのが、すごく親和性が高いと言えるやろう。

つまり「株式会社」として運営していく形になっても、本質的には「利益が目的ではない」というのは変わってないちゃ。Jリーグクラブに関しては、やはり「非営利型株式会社に近い」と言えるやろう。

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この記事を書いた人

とれぱん先生のアバター とれぱん先生 ブログ管理人

富山県の入善町に在住やちゃ。
2019年までプレーしていたハンガリー代表GKガボール・キラーイを応援しとったがいちゃ。今は地元のJリーグチーム、カターレ富山を中心に、いろんなスポーツを見とんがよ。バレーボール(KUROBEアクアフェアリーズ)、ハンドボール(アランマーレ富山)なども応援しとって、最近はクリケットもチェックしとるちゃ。料理、ギター、イラスト、温泉・サウナめぐりなども好きやちゃ。やわやわと頼んますちゃー

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