去年は地域リーグチャンピオンズリーグを優勝してよぉ、今年からJFLで戦う、コバルトーレ女川を取り上げた、佐藤拓也さんの著書「被災地からリスタート コバルトーレ女川の夢」を読んだじゃ。
「悲劇」ではなく「希望」の物語
コバルトーレ女川といっちゃ、どうしても東日本大震災の津波の被害を受けた地域でよぉ、壊滅的な状況になったとこという見られ方をされて、どうしても「悲劇」として見られやすいとこはあるかと思うちゃね。
ほんじゃけど、コバルトーレ女川の選手達がよぉ、選手達の多くが仕事している「高政」の蒲鉾を配布したりして、率先してボランティア活動しとったがいちゃ。元々、地元の祭りには参加して、ゴミ拾いなどの活動もしとったがやし、選手達にとっちゃ「女川町民として当然のことをやった」と言われとったがいど、町民から感謝されたがやと。「サッカーしに来たのに、サッカー我慢して支援活動させて申し訳ない。是非サッカーやっていて欲しい」と町民たちが背中を押してくれて、1年間の活動休止を経て、2012年に東北リーグに復帰したがいちゃ。
「サッカーがなくても生きてはいける。だけど、サッカーでより人生を豊かにできる」
冒頭によぉ、当時のディレクターだった、檜垣篤典さんが語っておられたがいど、この本に書かれていることちゃ、悲劇のストーリーやなくて、「サッカーでより人生を豊かにできる」ことを、コバルトーレ女川が示していることが記されとるがいちゃ。
震災から活動再開まで
本書ではよぉ、創設者である近江GM、檜垣ディレクター、滝沢陽介選手、中島礼司選手、泉田圭太選手のインタビューが取り上げられていたじゃ。
震災後の近江GMが「今年は活動休止するが、来年は活動をやろうと思う」と選手に向けて発言したところ、「命をかけてチームを守ってください。『絶対にやる』と言ってください」と滝沢選手が詰め寄った話は、オラも胸を引き締められたのう。
震災後についてちゃ、様々な選手がよぉ、他のチームへ移籍するもんがおれば、「必ず戻る」と約束して他へサッカーするもんがおったり、女川に残って復興活動をし続けるもんがおったりと、様々な視点で描かれとるちゃね。残った選手達は、子どもたちにサッカーを教えたりもしたがいど、人にサッカーを教えることで、今まで以上にサッカーの魅力を知ったりと、充実した日々を送っていたがいちゃ。
エリアポゼッションフットボール
1年後に活動を再開すると約束してもよぉ、2012年に向けて、きっちり準備せんならんわけで、自らの指針について見直すためによぉ、海外のサッカーの試合をかなり見ていたらしいちゃね。
女川ウェイ
http://www.cobaltore.com/way.html
コバルトーレ女川のサッカーと言っちゃ、去年の地域チャンピオンズリーグを見られた方ならご存知やろうけど、細かくパスを繋ぎながら、ゴールに迫っていく攻撃的なスタイルやけど、それが生み出された背景も書かれているちゃね。
オラはコバルトーレ女川のサッカーに感じられたのちゃ、ポゼッションサッカーとして知られる割には、案外遠目からもシュートを狙っていけたりと、球離れ自体が速くて、何が何でも崩し切るのとは、また違った感じに見受けられたがやね。
遠目からのクロスやと、Jリーグでも海外でもそんなにゴールが決まらんがやけど、遠い距離やとどうしても精度が落ちるがいちゃ。そこでコバルトーレ女川は、より精度を上げていくにはショートパスを使いながら攻めていく方がいいと判断して、人数かけて中央突破にこだわるスタイルを構築していったがいちゃね。そうするにも「ゴール」への最短距離を取っていくことを最優先に考えたからこその「エリアポゼッションサッカー」をよぉ、育成からトップチームまで徹底させていったがやと。
Jリーグでも明確なスタイルを確立させたクラブちゃ、そんなに多いわけでもないがで、なんか凄いことやっとるなーとオラは感じたもんやちゃ。
なんのせ、活動再開までの1年間を利用して、最高の準備をしていたわけやちゃ。まさに「リスタート」に相応しい本やったじゃ。
地域のために生きる
この本を前編を通じて言えるのちゃ、やっぱし「地域のために生きる」ことに尽きるちゃね。近江GMちゃ、石巻日日新聞の社長さんでもあるがいど、震災のときは、新聞を印刷する輪転機が水浸しで使えんがになったがいちゃ。ほんじゃけど、「今、伝えなければ、地域の新聞社なんか存在する意味はない」と言い放って、輪転機が復旧するまでの、6日間、手書きの壁新聞を発行したがやね。
輪転機が復旧した後も、毎日1万部を無料配布しとったがいど、もちろん経営を圧迫しとったがやね。ほんじゃけど、「地域のために」の前のめりな気持ちがよぉ、購読を継続させてくれる方が多くて、壁新聞で話題になったことで、資金支援などあって、会社を立て直していったがやね。
メインスポンサーの高政さんも、「地域のために」震災後に社員を解雇せず、逆に震災で仕事を失った方を新規雇用して、経営は大変やったものの、取り組みが注目されて、復活した話も書かれているちゃね。2014年には、アパートを購入して、新たな選手寮も作ったこともも書かれてて、本当に驚かされたじゃ。
女川の須田町長のお話も書かれとって、「頑張っているコバルトーレを支えるのは行政の役割」とまで言い切っとられたじゃ。ライフラインの復旧がまだまだにも関わらず、スポーツ整備を先に進めたことについては、町長も恐る恐る議会に提出したそうやけど、逆に「なんで早く言わんが?」と突っ込まれたそうやちゃね。
2年後にはJ3規格のスタジアムが完成する予定らしいがやけど、町長が自らJリーグに問い合わせたこともあったらしいちゃ。スタジアムは1万人以上の拡張も想定しとるとか書かれてあったがいど、これには「失ったものをただ取り戻すがやなくて、拡充する形で再生させないと、人を呼べない」とおっしゃってたじゃ。
実際に女川の駅周辺を歩いても、えらいキレイになっとって、本当にわかりやすい感じやったがよ。「震災前よりもパワーアップして」の意識を強く感じさせられたもんやちゃ。
オラにとっちゃ、サッカーだけやなくて、地域振興の視点からも、いろいろ勉強になった本やちゃね。今はAmazonでは絶版やけど、マーケットプレイス、メルカリなどを駆使しながらでも、多くの方々に読んでほしいと願いますちゃ。
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