とある日によぉ、夕方に富山で用事があったがで、仕事を終わった後に魚津駅から電車に乗ったがやね。
そんでちょうど席が空いているとこに座ったわけやけど、スーツケースを持ったお爺ちゃんがおったがよ。窓側にはチューハイが置いてあって、いい感じに酔っ払っとったじゃ。
そんで話しかけられたがいちゃ。
「おにいさん、今どこの駅?」
と言われたがで「魚津ながです」と答えたがいちゃ。
そんでお爺ちゃんは「ここが魚津なんだ。なんか書いてなかった。看板には『YKK』と出てたから、どこかと思った」とかゆっとったじゃ。
…こりゃ酔っ払っとるちゃねぇ。
ただ地元の人やなさそうな感じやったがで、つい「どこから来たがですか?」と聞いてしまったがやね。
そしたら「東京から来て普通電車で富山へ行く。新幹線だと味気ないから」とかゆっとったじゃ。18切符で東京まで往復したことあるがで、オラは「いいなあ」と思ったもんやちゃ。
そんで、お爺ちゃんは次々と話してくるがやね。家族の話とか仕事の話とかのう。そんで奥さんが富山の人で、富山で出会って、東京へ連れて行ったようやちゃ。そんで奥さんの親戚が富山に集まっとるようながやね。…なるほど、それで富山まで鈍行で行こうという動機があるがやね。
というか、すごく富山好きなのが伝わるお爺ちゃんながやねぇ…。
そんでチューハイ飲んでいるがで、おじいさんが「これどう思う?」と聞いてきたがで、まあオラとしては普段通りで「酒は飲むことは飲むがやけど、やっぱしいい酒を飲みたいちゃ。日本酒好き」と言ったら、そこからはもうノリノリやちゃね。
「富山の酒は本当に美味いだよ…。東京の方では全然言われないけど最高だよ。あれを飲んだら大手のは不味くて飲めない」とかゆっとったじゃ。
それをコンビニで買ったと思われるチューハイの飲みながら語るところがおもっしいがやけど。
お気に入りは結構ベタなところで「立山」やったがやけど、いろんな酒を飲んでらっしゃるだけあって、興味深い話をしとったのう。「立山は最初の口当たりから酔いが来るけど、銀盤は後から来る。あと満寿泉は最初から最後まで酔っ払う。富山の酒は中の下くらいでも美味しいんだな…」とか幸せそうな顔で語っていたのう。
オラはほぼ地元である黒部市生地の皇国晴酒造の「幻の瀧」と、朝日町境の林酒造の「黒部峡」が好みやけど、そちらはあまり飲んだことない感じやったじゃ。ただ場所を教えたら「あー生地の!」とか「朝日の酒蔵聞いたことある」という感じで、興味深そうやったじゃ。
いつか飲んで欲しいのう。キレがいいがやねぇ。
そんでお酒の話から、最後は寿司の話になったわけやけど、お孫さんに富山の寿司屋へ連れて行った話がよかったじゃ。東京で生まれ育ったお孫さんには、スーパーに売っているパックの寿司とか、回転寿司しか知らなくてよぉ、おじいさんの知り合いが営んでいる寿司屋で「回らない寿司屋」へ連れて行ったがやけど、お孫さんが「寿司というのは手で握るもの」というのを初めて知ったそうやちゃ。それを食べて「目を光らせながら口をオーと開いて感動していた」とおっしゃってて、こっちも心が踊る思いをしたもんやちゃ。
良いことしとるちゃねぇ…。もうそういう姿見せられたら、おじいさんもたまらんかったやろげ…。
そんなこんなの話をしとったわけやけど、富山駅でお別れやったじゃ。もう二度と会うことはないかもしれんねど、こういう「一期一会」というのは良いものやちゃね。知らない人でもお酒や寿司の話で共有して、お互いが楽しい思いをするとか、幸せな気分になるちゃ。
ネットを見ていたら、全く知らない他人に青筋立てながら「税リーグ!」など言って、ギャーギャー騒いどるもんがおったりするもんやけど、やはり知らない人同士なら楽しい話をするほうが良いちゃ。
本当におじいさんには感謝やちゃね。

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