前嶋は「リアルアオアシ」け? 「ゲームメーカー」と言われる役割を果たすポジションが変動しとるちゃね

カターレのレビューを続けていて、書こうと思っていて、書いてなかったところを触れるちゃね。

https://twitter.com/giubilomario/status/1177129609386577921
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ゲームメークと言われる選手が変わってきとるちゃ

サッカーの歴史を紐解いとって思うことやけど、いわゆる「ゲームメーカー」と言われる選手ちゃ、だいぶ変わってきとるちゃね。日本語やと「司令塔」と呼ばれる役割やけど、まず「ゲームメーカー」とはなんぞやということで、Wikipediaから引用するちゃ

サッカーにおける司令塔

サッカーにおいても他のスポーツと同様に司令塔は試合の流れをコントロールする役割を果たすチームの中心選手のことを指す。日本においては、中田英寿がフランスワールドカップに向けての最終予選で攻撃的ミッドフィールダー(トップ下)をしており、ワールドカップ出場を決めたイランとの試合において、2アシストを決めたこと、および中田の特異なファッション、言動から中田ブームが起き、中田ブームとともにこの言葉も定着した。そのため、2000年代前半までは主に攻撃的ミッドフィールダー(トップ下)で、フォワードにパスを多く出すタイプの選手を指して使われた。しかし、近年のサッカーではより低い位置から攻撃を組み立てようとする傾向が強くなり、チームによってはDFや守備的ミッドフィールダー(ジュビロ磐田の黄金期における名波浩やブラジルワールドカップ最終予選での遠藤保仁など)が司令塔の役割をこなし、トップ下の選手にパサータイプを置かないというチームも多くなった。例えば、2010-11のボルシア・ドルトムントにおいて香川真司は攻撃的ミッドフィールダー(トップ下)であるが、司令塔ではない。

主に他の選手への指示とかパスで試合の流れをコントロールする役割の選手のことやけど、日本のサッカーにおいてやと、90年前後やとラモス瑠偉、2000年前後やと中田英寿、名波浩、小野伸二、2010年前後やと本田圭佑、遠藤保仁辺りが代表的でよぉ、今の代表やと柴崎岳や久保建英がそういう選手やと見られとる感じやちゃね(若干の異論はあるかもしれんねど)

ただ、80年代にマラドーナが活躍しとって、その対策として「ゾーンディフェンス」「プレスディフェンス」などの守備戦術が発展していったことによって、中盤の選手に与えられる時間も空間も無くなってきとるがで、どんどんポジションが下がってきとるちゃ。

GKが司令塔を担う時代

2018年に発売されたイタリアの分析官のレナート・バルティとライターの片野道郎さんの著書「モダンサッカーの教科書」にこんなこと書いてあったじゃ。今から1年半くらいやから、ナポリはサッリ監督(現ユヴェントス)の時代やちゃね。

片野 – かつて「司令塔」と言われたのは背番号10をつけた攻撃的MFの選手でした。プラティニやジーコ、マラドーナの時代です。それが90年代から00年代になると中盤でプレーするレジスタが「司令塔」となった。トップ下としてキャリアをスタートし、アンカーのポジションで世界最高のレジスタに登り詰めたピルロはその象徴と言えるでしょう。それが今はさらに後退して、レナートが言うようにCB、そしてGKが「司令塔」の機能を担う時代に入りつつある。

最近のJリーグでも明らかやけど、センターバックやGKが司令塔を担う時代になってきとってよぉ、足下の大切さを謳われてきとるちゃね。これは日本代表とかJ1とかのトップのところだけやなくて、J3でも良く見られる傾向になっとって、ビルドアップに参加する選手は多くなってきとって、足下が怪しいタイプは結構減ってきとるのは感じられるちゃ。

この後に「ナポリはレジスタが入るべきポジションにそれはレジスタ的ではないプレーヤーが入り、レジスタの機能はむしろ1列後ろのCBが、シティではさらにSBやGKまでが担っている」というちゃね。ビルドアップとポゼッションを軸に据えた攻撃のクオリティに関して欧州の最高峰と言えるナポリとマンチェスター・シティやけど、ナポリはディアワラ、シティはフェルナンジーニョが担っていたがいど、その両方ともいわゆる「司令塔」といえる選手やなくて、守備的でフィジカルが強いタイプが優先される傾向にあるようやちゃ。

今やと20年前ぐらいと違って、どのポジションの選手にしたってアスリート化が進んでよぉ、高いプレー強度でスピードもパワーもガンガンなもんやから、前線の選手は最低限の守備ができとらんと、なかなか上手くやっていけない時代やし、それに伴って、3列目にポジションを下げたはずの「司令塔」も苦労する時代にはなっとるがで、今やとGKまで…となってしまっとるちゃ。エデルソンとか昔のサッカーやと考えられんにか。

サイドバックが司令塔に

そういやあ、最近オラはサッカー漫画の「アオアシ」を読んどんがいちゃ。

サッカー戦術分析ブログ〜鳥の眼〜
「アオアシ」を考察してわかった、”司令塔型サイドバック”の可能性と”チャンネル”攻略法を解説 オフシーズンなので、おまけ的なライトな話でも。という事で、皆さん。マンガ大国日本において「サッカーはマンガから入りました!」という人も少なくないのではないでしょ...

これはおもしいがいちゃね。サイドバックの考え方がガラリと変わってしまう作品やちゃ。

従来のサイドバックというのちゃ、長友みたいがに「上下動」がベースにあって、大外を走ってパスを引き出してクロスで折り返す…という感じやったがやけど、今では徐々に減少気味になってきとるちゃね。

詳しくは上のとんとんさんのブログが書いてくださっとんがやけど、サイドバックが司令塔やっとると、相手の目線をサイドに向かせることができるがで、相手のディフェンスの距離感とか乱すことができたりすんがよ。それに深い位置におるもんやから、2トップとかのチームやと、プレッシングしづらい…ということもあるちゃ。

アオアシの主人公ちゃ、最初はフォワードやったがいど、途中から監督によりサイドバックに転向することになってよぉ、彼が持ち合わせている才能がより光る展開になってきとって、同時に「守備」の大切さを感じさせられるがよ。漫画やけど、これはれっきとした戦術本やし、戦術本みたいな堅苦しくて、クールな感じやない漫画ならではの熱いがやから、これはおすすめやちゃね。

カターレの両サイドバックも司令塔化しとる?

ということでカターレに触れておくちゃ。

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前節のカターレはこんな感じやちゃね。

いわゆる「ゲームメーカー」と言われるタイプは、この中やと3列目の花井聖がそうやろう。下がり目の位置から彼のパスからリズムを作っとるし、実際に決定機を作っとるがで、彼の出来が勝敗に与える影響があるのは否定できんやろう。

ただ、そこから決定機が演出されると相手も分かっておるがなら、相手チームも高い位置からプレッシングをかけてくるがで、厳しいプレスの中やと、花井に与えられた空間と時間ちゃ、どうしても限られたものになりがちやろう。本人にプレスを躱すぐらいの技量はないわけやないがやけど、あんまりにも依存しとったら、逆に相手に狙われるポイントになってしまうちゃね。ショートカウンターでやられる可能性は否めんやろう。

そう考えてたらよぉ、マンチェスター・シティやナポリみたいがに、他の選手にゲームメーカー役をやってもらわんなんのを考えていかんなんちゃ。

…で誰かと言ったらこうなるちゃ。

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ここ3試合のゴールシーンから抜粋したものやけど、実は花井が大きく関与しとるのちゃ、岩手戦の大谷へのフィードくらいで、ほとんどなかったりすんがやね。ここでは図を作っとらんだ讃岐戦の2得点も、1点目は今瀬のフィードが基点で、2点目は前嶋のサイドチェンジから柳下のクロスから決めとんがやね。つまり「ゲームメーカー」とされる花井には、そこまで依存していないことが分かるはずやちゃ。

最近の3試合に関しちゃ、カターレの両SBがかなり面白く思えるがいちゃね。代健司はもともと組み立てできるCBやったし、柳下はサイドを突っ走ってクロスは相変わらずやから、元々持っている力を出しとる感じやけど、やっぱし彼に大きな変化を感じられるちゃね。

そうながですよ。前嶋洋太のことながいちゃ。

前嶋洋太はリアルアオアシ?

昨シーズンにカターレに加入した前嶋ちゃ、当初は3-4-2-1のシャドーやったがやけど、安達さんが監督になる前後くらいには、左ウイングバックでプレーしとったがやね。攻撃時はタッチライン際をポジション取りながら、一列前の選手と連携を取りながら、ゴール狙ったりアシスト決めたりしとる、いわゆる「ウイング化」しとるタイプやったがよ。

今シーズンも4バックの左SB、3バックの左ウイングバックのどちらかで起用されても、しばらくは「ウイング化」しとったがいど、さすがに昨シーズンのチーム得点王だけに、相手チームも警戒してくるがで、得点もアシストもペースが落ちていったのは否めないとこやちゃね。

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ただ、最近の試合やと、あんまし高い位置を取らんがやし、むしろ後ろで残ってゲームを組み立てることが多いがいちゃ。シーズン序盤の頃は、両CBがサイドに空いたところを、碓井か花井が下がって、両SBが最前線近くまで押し上げることはやっとったがいど、最近は控え目やったりするのう。

パターン化しとったのは明らかやったし、相手も分かっておりゃ、すぐに対応できるもんやったがいど、ここ最近の試合を見とると、前嶋は今までからプレーできることが増えてきとって、いわゆる「現代型サイドバック」に相応しいものになってきたと感じられるちゃね。

ゴールに近いところで勝負するわけやないがで、昨シーズンのようにチーム得点王になれるほどのプレーは期待ができないやろうけど、オラ個人としちゃ、今の方がすごくいいプレーをしとると感じるちゃ。彼の特徴であるドリブルちゃ、以前は「仕掛ける」ための武器やったものが、今は「運ぶ」「引きつける」というプレーのためにあるドリブルと言えるやろう。

 

かといって、前嶋のできることが、司令塔っぽくなっとるとは言っても、おそらく花井のとこに入れて同じプレーはできんやろうし、花井の方が上手くやれるはずやろう。

ただ、変わりゆくサッカーの中で、ゲームメーカーという選手がどんどん後ろになっているという現代サッカーの流れから見たら、元々中盤の選手でパスもドリブルも器用にできて、左右どっちも蹴られる前嶋ちゃ、「サイドバックのゲームメーカー」に相応しい適性はあるやろう。

ほんじゃから、「前嶋は上がってドリブルで仕掛けて~」みたいな選手に対する固定観念は一度拭い落として、まっさらな状態から見たらおもしいかと思うちゃ。

誰からでも決定的なパスを出せる時代になるちゃ

今のカターレちゃ、J3クラスやとハイボールが絶対的に強い平松によぉ、国内サッカー屈指のスピードを誇る「越中のモハメド・サラー」こと大谷がおって、足下に欲しいドリブラーの白石といい、受け手側のプレーの基準がしっかりしとる状況ながやね。

ただ、そこにパスを出していくもんが、一人しかおらんかったら、攻撃はなかなか上手くいかんちゃ。欧州のサッカーとか見とると、確かにデ・ブライネとかモドリッチとか優れたパサーは存在するがいど、他の選手も水準を超えるものになってきとって、割と「誰からでも受け手が要求するタイミングに合わせて出せる」…というサッカーになりつつあるかと感じられるちゃ。特定のパサーに依存する時代は終わりつつあるかもしれんちゃね。

そう考えると、今後カターレを見る際は、前嶋、代、柳下などのサイドバックは肝になってくるはずやちゃ。彼らのことも「ゲームメーカー」という意識を少しでも持ちながら、是非注目して欲しいちゃね。

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